音質改善:自作スピーカーケーブル:スピーカーケーブルの末端処理方法

AV FAQ

個人的な経験では、オーディオケーブルで最も音質に影響を与えるのはスピーカーケーブルか電源ケーブルのどちらかだと思っています。スピーカーケーブルに関しては、信号経路で最も大きな電流が流れるところであり、スピーカーそのもののエネルギー変換効率がそれほど高くない、他のケーブルに比べて長く使う。等が原因なのかな?と思っています。

スピーカーケーブルの性能を長期的に充分に発揮するには、適切な末端処理をすることが必要です。銅線を未処理のまま使用すると、経年劣化で表面が酸化して接触抵抗が増えたり、細い一本一本のケーブルが千切れたりするからです。

スピーカーケーブルの末端処理については、これをしておけば正解。というのがないのが現実です。何故かというと、スピーカー端子が規格として厳密に規定されていないからで、使用しているアンプやスピーカーに合わせるしかないからです。

この写真は私が入手後しばらくは末端処理をしないまま使用していたスピーカーケーブルの先端部です。銅線の色は曇っていますし、途中で千切れた銅線も見えます。

比較的最近のスピーカーやアンプを使用している前提だと、選択肢はYラグかバナナプラグの2択だと思います。

個人的には一般的には良質な「圧着タイプ」のYラグ(Y型端子・スペード端子)の使用を勧めます。正しく圧着された金属同士は互いの原子同士が結合し、機械的にも強固な結合となり、銅線とYラグの間の接点の酸化の心配もありません。工具を正しく使いさえすれば、だれでも確実な圧着が可能です。

Yラグの表面が経年変化で酸化した場合は、接点復活剤や無水アルコール+ミクロンクロス系の眼鏡クリーナーで磨けば大丈夫なのでメンテナンスも比較的容易です。

私がスピーカーケーブルの自作に多用していたのは、AIRBOWのYラグです。電工用の一般的な端子を低温処理したもので、安価なY端子ですが、音質の劣化が少なく、オーディオ用として充分使い物になります。幅6㎜と8㎜の2タイプがありますから、自分の装置に適したものを選択してください。

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接続を確実にしスピーカーケーブルの性能をフルに引き出せる圧着式スペードプラグ(Yラグ)

Yラグの内側が、6㎜と8㎜の両側の幅で2段階になったものがあります。この端子だと、スピーカーやアンプを買い替えて対応するYラグの寸法が変わっても、そのまま使用できて、長期的に有利でしょう。秋葉原の老舗の電工用品店オヤイデの製品が作りが良い割に価格が手ごろでお勧めです。

圧着工具は、1000円程度の簡易型ではなく、かならず、てこの原理を利用した専用の工具を使ってください。圧着力が圧倒的に違います。(上記、オヤイデのラグは銅の厚みがあついので、簡易型では、圧着不可能でしょう)数千円で入手可能なものですから、オーディオファンなら、1個持っていても損は無いはずです。私はロブテックスを愛用しています。

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圧着端子(mm[[の2乗]])絶縁端子用:-

8SQ(平方mm)の端子まで対応(太めのスピーカーケーブルに多い3.5SQは5.5SQの端子で処理するように指定されています。)していますので、この工具で不足することはないと思います。

Yラグ加工例について、写真で解説しましたので、リンク先を参照してください。

一方、バナナプラグは機器との取り外しが簡便というメリットがあります。

複数のスピーカーを使い分ける場合などは非常に便利です。また、ある時期の英国製のオーディオ機器はスピーカー、アンプ共にバナナプラグ専用のものもありました。それにAVアンプのスピーカー端子は間隔が狭いので、バナナプラグの使用が便利です。

圧着のための複雑な構造をもったバナナ端子は、高額な割に必ずしも高音質とは限らないようです。シンプルなオーディオテクニカのバナナ端子が、比較してみると、意外と高音質で使えるもので、お勧めです。メガネ用等の小型のマイナスドライバーでスピーカーケーブルを2ヶ所でネジ止めします。

このバナナ端子の良いところは、外側がプラスチック製のカバーで覆われていて脱着時のショートの危険性が少ないことです。バナナ端子は端子間隔が狭いことが多いので、重要なポイントです。

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材質: 真鍮/ABS樹脂

スピーカー端子がネジ止め式の古いスピーカーやアンプの場合は、カーオーディオ用で、幅の狭いYラグを見つけることが出来ると思います。だいたい4mm幅のものが一般的でしょう。

オーディオテクニカ ケーブルターミネーター TL10-M4Y
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10・12AWG用 ネジ径4mm Y型圧着タイプ

プッシュ型の端子(バネ留めの簡易的な端子)の場合は、良質な細いスピーカーケーブルや単線をスピーカーケーブルの末端に圧着スリープで接続する方法がお勧めです。圧着スリープ部分を絶縁することを忘れないで下さい。ショートの原因になります。機器側の端子を交換するのもひとつの手段ですが、個人的には、見かけが変わる、元に戻せない加工は無責任には勧められませんし、私の趣味の問題で言えば、美しくないと思っています。

スピーカーケーブルの端末処理用には、こういった市販品もあります。テクニカのAT683は細めのスピーカーケーブルに変換する圧着工具タイプのもの。AIRBOWのIラグは低温処理された棒状の端子です。

オーディオテクニカ|audio-technica ケーブルターミネーター AT683
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この写真はLUXMAN L-570のスピーカー端子です。1989年発売、国産高級プリメインアンプとして一世を風靡した製品です。このスピーカー端子はスペード端子やバナナ端子には非対応。当時流行していたモンスターケーブルの様な太い多芯ケーブルに適合したスピーカー端子です。後のLUXMAN公式サービスではスピーカー端子の交換サービスも提供されています。上記の棒端子でもよいですが、せっかくの接触面積の大きさを活かせないので、大き目のスペード端子の片側を差し込むか、板状端子の使用を検討すると良いかもしれません。

LUXMAN L570のスピーカー端子の形状
LUXMAN L570のスピーカー端子
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*接触面(舌部)が板状である裸ブレード端子です。

ナノカーボン等のオイルに微小なカーボンを混ぜた接点改良剤は、酸化防止や機械的なぐらつき防止で、効果があります。量を塗りすぎないように。

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デジタルカメラ、スマートフォン、AV機器などの接点不良による機能低下や動作不良のトラブルの予防、改善に

正しく末端処理を行い、長く安心して使えるスピーカーケーブルを用意しましょう。ケーブルの被覆を取るには、専用工具のワイヤーストリッパーがあると便利です。

コメント

  1. tany より:

    半年ほど前、自作電源ケーブルやスピーカーケーブルの端末処理のため、圧着工具を秋葉原で購入しました。
    ガード下の工具店は結構親身に相談にのってくれるため、5.5SQ以上に対応の圧着工具を全部実際に触らせて頂き、使用感を確認した結果、ロブテックス製を選びました。理由は、にぎりの部分が絞られているため、片手でしっかりとホールドし、握り込めるためです。自分の手は大きい(手を広げると親指と中指の先端の間がA4サイズの短辺より大きい)のですが、それでも別のメーカーの圧着工具は使いづらいと感じました。というわけで、ロブテックス製はお勧めです。
    YASさんお勧めのメーカーのワイヤーストリッパーは老舗ということもあり、良く見かけますし、実際使ってみても良い感じです。一方、日本工具大手のH社の奴は、切れがいまいちな感じがします。私は、上記工具店から刃に定評があるメーカーだと教えて頂いたフジ矢株式会社製を購入しました。持ち手に特徴があり、ホールド感があり、刃も悪くないのでお勧めです。でも、マイナーなんですよね。

  2. YAS より:

    私がロブテックスを買ったのは、10年以上前で、当時は大阪日本橋の五階百貨店(平屋建てなのですが^^;)のあたりだったとおもいます。このタイプにしては値段がお手ごろなのが理由だったのですが、正解だったようですね。
    ベッセルのワイヤーストリッパーは、秋葉原の老舗キット屋さんオーディオ専科のお勧めということもあり、同社の(今はディスコンになっている)6V6PPのアンプを作った時に購入しました。

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