ドイツ製の楕円型同軸スピーカー Isophon PH-2132Eの為に、専用キャビネットを製作しました。
良好な音質のキャビネットの製作のためには、素材の選別も重要です。
ビンテージユニット用のキャビネットなので、響きの良質な素材が適しています。ラワンやシナ合板やMDFは入手しやすいですが、もう一工夫したくなります。米松合板は、既に家具や楽器に使えるような良質なものが手に入りにくく、米松合板の名前で売られているものでも、実際には、構造用合板と呼ばれるタイプのもので、木質より接着剤の樹脂が多い音質に問題のあるものが殆どです。
音響的に評価が高く、見た目も綺麗なフィンランドバーチに初挑戦してみました。(2005年時点で、DIYでフィンランドバーチを試したのは、割と早い方だと思います)米屋材木店さんにお世話になりました。
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楕円カットはNC工作機により高精度です。直線カットも非常に高精度で、綺麗に直角が出ていて、工作が非常に楽でした。街のホームセンターは勿論、東急ハンズと比べても、ワンランク上の加工精度だと思います。今回は、忙しい時期にもかかわらず、夏休みを利用して工作をしたいという私の都合に、工期を合わせていただき、大変お世話になりました。自信をもって、お勧めできる材木店さんです。
フィンランドバーチ材は4x8吋サイズの買取になります。店頭在庫がある場合は、4x4や2x8吋のカット材を販売してくれる場合もあるそうです。小型のスピーカーを作成する場合は、あまりの木材をつかって、スタンドやラック用の板を切り出してもらうと良いでしょう。
注)2005年時点の記事ですので、現在は事情が変わっているかもしれません。
フィンランドバーチ合板とラワン合板とくらべると、積層がラワン合板の半分以下の薄さで、断面が非常に綺麗です。板の断面が美しいので、切断面を小口テープなどで隠さずに、積極的にデザインに活かしたほうがよさそうです。
スピーカー工作にお勧めの木工用接着剤は、フランクリンのタイトボンドです。固化時間も短く強力。はみ出た部分はやすりで削り取れるので、塗装時に邪魔になりません。もう、一般的な酢酸ビニル系の木工用接着剤には戻れません。
製作中の写真です。
接着剤は、アメリカのフランクリン社のタイトボンドを使います。硬化が早く強力なので、短時間での製作が可能ですし、はみ出た部分を、ヤスリで削り取ることが出来るのでお勧めです
ハタガネ+重りをつかい、固定しましたが、このサイズだと、単純なイモツギ加工だと、工作が大変なので、次回以降は、ホゾ組みなどの可能性を追求したいと思います。



上下逆になっていますが、仕切り板によりダブルバスレフのような構造になっているのが、わかると思います。仕切り板は、フロントのバッフル板の補強もかねます。
また、スピーカーユニットは、バッフル板の裏側から設置するタイプのものなので、裏板を桟をつかって取り外し可能としています。
写真では判りにくいかもしれませんが、板厚が一定で、カット精度が良いので、板の合わせ目も、手で触れないと、微妙な段差があるのがわからない程度の精度で組み立てることが出来ました。しっかりヤスリかけをすると、段差も完全になくなると思います。
写真を撮り忘れましたが、吸音には、粗毛フェルトを使いました。


日中は暑いので、主に夜間作業。デジカメのフラッシュ弱く、写真が暗くて申し訳ないです。(若干、補正したのですが)ホワイトバランスの関係で、赤っぽく写っていますが、実際の色は、かなり白っぽいです。

低音も、しっかりでています。こころもち、裏板の振動が大きく、低域の解像度を損なっているようですが、その一方、低音の量感を出している部分もあります。トータルバランスを考え、今後のチューニングが必要でしょう。
PH2132Eのコーンツィータによる高域は非常に浸透力のある高解像度な音が出ます。これは、ドイツ製の高級スピーカーに共通する傾向です。50年前の設計なのに、今聞いてもハイファイなのは、当時のヨーロッパのFM放送が、すでに高域15KHz帯域を保証していた(アメリカは10KHz)のも一因でしょう。また、各社がオーディオ装置の開発に力を入れていた時代なので、大きなメーカーがオーディオ開発に力をいれ、優秀な技術者、科学者がオーディオの開発に携わっていました。
フィンランドバーチ材による標準箱レプリカは、オリジナルの性能を垣間見せてくれるものになりました。ヤスリがけ、塗装、細かい音質チューニング等は、次の休み以降のテーマにする予定です。
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