陶器のスピーカー JORDAN WATTS FLAGON

JORDAN WATTS

私のお気に入りのオーディオメーカーのひとつに英国のJORDAN WATTS(ジョーダン・ワッツ)社があります。メタルコーンのフルレンジスピーカーユニット MODULARユニットをベースにいろいろなシステムを販売していた会社です。もっとも有名なのは陶器製のキャビネットを使ったフラゴンでしょう。Flagonとは酒瓶の意味です。

かつでの佐々木硝子のガラス球スピーカーや、INAXの陶器の球形スピーカーも、オリジナリティを持つと同時に、広い意味でフラゴンへのオマージュを感じます。フラゴンは、同じユニットを使用したJUMBOやJUNOと比べて陶器を使用している分高価で、それほど売れたスピーカーではないでしょうが、JORDAN WATTS社のアイコニックな製品だったというだけでなく、オーディオ界にいろいろな意味で大きな影響を与えたのでしょう。

MODULEユニットを使用したスピーカーとしては同社の最小サイズのスピーカー JUMBOやJANET同等かそれ以下の容量の壷にめいっぱいにウレタンを詰めています。壷の開口部はバスレフダクトの様に動作するでしょうが、その部分にもウレタンが詰められている(コルクは中に穴があけられています)ので、ダンプドバスレフという感じでしょうか。密閉型にするにも容積が小さすぎるので、そのようにして内圧をのがしているように思えます。重量があり適度な内部損失を持つ陶器のキャビネットのおかげで、聴感上は、スピーカーの見た目より低音は出ているように聞こえますが、レンジ的には低域の量はやはり少なく中域中心で楽しむスピーカーです。フルオーケーストラやシンセサイザーの様な低音の多い音楽には向いていません。

所謂前期モデルは陶器とスピーカーユニットが別々に納品されて国内(恐らく販売店側)で組み合わせて売っていたようです。英国からの輸送ですから相当数割れて届いたものも多かったと、むかし、大阪の老舗オーディオ店のベテラン店員の方から聞いたことがあります。後期モデルは壷をかたどった(初期型とはデザインの異なる)アルミ製の容器に変更になっています。

フラゴンは、外観も面白く所有欲を満たしてくれます。音もレンジが狭いことを受け入れれば、実に面白い音のするスピーカーで、私のスピーカーコレクションの中でも自慢の逸品です。

しかし、中古で20万円以上の値段(当時の売価の3倍程度?)で売買されているのを見ると、さすがにそれはどうかなぁ?と、思うこともあります。メインシステムにそれなりのコストをかけて使いこなせている人ならば、洒落たサブシステムに投資しても良いと思いますが、そうでなければ、もっとほかのところに、先にお金をかけたほうがオーディオ生活が幸せになれると思います。

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