久しぶりのオーディオネタです。
ラックスマンから、小型真空管プリメインアンプが発表になりました。型番はSQ-N100です。
http://www.luxman.co.jp/presspro/n100.html
ここのところ、高級品指向だったラックスマンですが、189,000円と買いやすい値段のアンプを出してきました。価格からボリューム付きパワーアンプと思っていたら、ちゃんと、MM型対応のフォノアンプも内蔵していますし、フォノ入力を含めて、入力は4系統あるので、充分な使い勝手でしょう。良く考えられた構成です。6BQ5のプッシュプルアンプというのは、ある時期の英国の標準的な構成のアンプなので、そういう意味からも注目しています。
CHINA製などでもっと安い真空管アンプも出ていますが、今回、信頼できるラックスマンブランドから発売されたという事で、大きな意味があると思います。真空管アンプは、トランス類や自動化できない配線が多く、どうしても製造コストがかかります。また、シンプルな回路の為、パーツの音質の影響が大きいのです。したがって安すぎる真空管アンプの購入は、安物買いの銭失いになってしまいます。今回の製品は、まっとうな価格設定であり、トランス類も最高級品とまではいかなくても、ラックスマンの名に恥じぬものが使われているでしょう。個人的には、ラックスマンのアンプを所有した事はなく、ラックスマン・ファンではありませんが、CHINA製とは比較にならない品質を有している事でしょう。(仮に製造コスト削減の為にCHINAの工場で製造していたも。です。)
出力は12Wと小さめですが、一般的なスピーカーとの組み合わせで、隣家を気にしない音量で音楽を楽しむ範囲では、不足なく使えるのではないかと思います。ただし、インピーダンスや能率が極端に低いスピーカーは、もともと真空管アンプと組み合わせるのには適さないので、避けてください。低域特性を考えても、プッシュプル回路を採用したのは良い判断だと思います。シングルアンプの音の透明感は認めるものの、低音を出す為には、コアの大きな(高価な)アウトプットトランスを使う必要があり、コスト的に見合わないからです。実は、特性のしっかりしたアンプをある程度安く作るには、シングルよりプッシュプルアンプのほうが有利なのです。また、多くの方が使用しているスピーカーとの組み合わせでは、ダンピングファクターの面からもシングルよりプッシュプルアンプのほうが好結果が得られるでしょう。
6BQ5/EL84という真空管は、日本では入門者向けの低価格キットなどに採用される事が多く、上等な部品との組み合わせ例が少ない事から誤解を受けていますが、新型のオーディオ専用設計の真空管であり、特性も音質も非常に優れています。(Blog Masterは、40年前の英国LEAK社のSTEREO20というアンプをプロが丁寧にメンテナンスしたものを愛用しています。)前述のように、1950~60年代の英国で、6BQ5のプッシュプルアンプはMullardの基本回路などを元に、標準的なアンプとして広く使われていました。日本の真空管オーディオファンには300BやKT88といった大型の真空管をあがめる傾向を感じますが、そういう先入観無しでこのアンプに触れると、きっと、良いものになっているのではないか?この構成から、そういう期待を感じます。
コメント