ピュアオーディオ用のアンプには、プリアンプとパワーアンプ。そして、両者を1筐体に納めたプリメインアンプ(もしくは、インテグレーテッド・アンプ。日本語では総合アンプという呼び名もありました)があります。
プリアンプは、音量調整、入力選択が主な役割で、製品によってはフォノイコライザーアンプやトーンコントロール、音量バランス調整のような音質調整機能も持っています。CD全盛以前の殆どのプリアンプにはフォノアンプが内蔵されていて、レコードプレーヤーからの出力レベルの低い出力をチューナーやテープレコーダーとそろえる役割もありました。電圧レベルの低いレコードプレーヤーの信号を、パワーアンプと別筐体で扱える事のメリットも主張されています。
一方、パワーアンプはプリアンプからのライン入力を受けて、スピーカーを駆動するのが役目になります。ライン入力は、プリアンプの出力やCDなどのライン出力を使いますが、パワーアンプは音量調整機能を持たないものが多いため、どこかで音量調整をする必要があります。パワーアンプには、モノラルパワーアンプとステレオパワーアンプ、AV用等で4ch等より多くのチャンネルを1筐体にまとめたものもあります。
最近は、事情が変わってきていて、多くのプリアンプからフォノアンプが省略されるようになっています。(一方で、レコードファンのために、高級で高音質な専用フォノアンプの市場が出来ています。)また、プリメインアンプといっても、パワーアンプにセレクターとボリュームのみの構成のものが増えています。また、パッシブプリアンプといって、ボリューム調整機構とセレクターのみのシンプルなものも提案されています。(信号の増幅を行わない装置をアンプと呼んでよいかは、賛否あると思いますが…)
プリメインアンプという名前であっても、内部的には、ボリューム、セレクター+パワーアンプのものも多くなっています。 現在の音声ソースはCDを中心として高い出力ラインレベルを持ち、プリアンプによる増幅が不要になった事が背景としてあるでしょう。
では、現在のオーディオセットでプリアンプが不要かというと、私はそうは思いません。録音された音楽の音質には限界があることもあり(ハイレゾ音源でも基本的に同じ)、再生側で巧く色付けをする事により、音楽を楽しく聴かせる事は可能になります。色づけというと、ネガティブな印象を持つ人が多いかもしれませんが、音楽演奏の現場の情報量と、CDなどのメディアの情報量の限界差を考えると、再生機器側で心地よく聞かせる演出をするのは、意味のあることだと思うのです。
たとえば、私が過去に使ってたQUAD QC24はトーンコントロールも持たない入力切替とボリュームのみのシンプルなアンプですが、音に厚みをつけ、音楽を楽しく聴かせるツボを抑えた音質変化を与えてくれました。もちろん、こういった手法の音質調整を好まない人も居るでしょうが、非常に有効なのも事実です。
その後、EARのプリアンプ 864を入手。QC24と比べても「高級プリアンプだと、ここまで音が良くなるのか?」と驚愕し、オーディオシステムの見直しのきっかけとなりました。
まずはスピーカーを駆動するのに充分な性能を持つパワーアンプ、もしくはプリメインアンプの選別が最初だと思います。
プリアンプとパワーアンプの間は、一般的には、RCA同軸のオーディオケーブルで接続しますが、バランスケーブルによるバランス伝送に対応したプリアンプ、パワーアンプもあります。その場合、バランスケーブルを用いて、プリアンプとパワーアンプの間の距離をとることができます。私の環境では、プリアンプは部屋の側面のラックに配置。スピーカーの中央に置いたパワーアンプとの間は4mのバランスケーブルで接続。パワーアンプとスピーカーは2~2.5m程度の長さのスピーカーケーブルで接続しています。
コメント
QUADでgoogleして螺旋館にめぐり合い、以来勉強し、参考にさせていただいておりました。QUAD44のMCフォノモジュールがなかなか手に入らないため、フォノイコを探しておりました。結果、QC24 Pを先週手にし、エージング中です。おかげでQUAD44がお蔵入りしてしまい、良かったのか悪かったのか・・・。QC24 Pは8月のblogにあったとおりの鳴りっぷりです。いつも貴重な知見をありがとうございます。今後もご活躍されるようお祈りいたします。
参考にしていただいたようで、ありがとうございます。ハンドルから察するに、組合わせているスピーカーはSpendorなのでしょうね。私も、古いSpendor BC2を所有しています。
QC24Pということは、単体フォノイコアンプを購入されたのですね。このフォノイコはEARやMusical Fidelityの設計で有名なティム・パラビチーニが設計に参加しているそうです。
プリアンプもフォノイコも、最近は極端な価格のものが多くなっていますから、QUADの製品は、安いとは言えませんけど、手の届きやすい価格で必要充分な性能を実現してくれますね。
レスありがとうございます。お察しのとおりBC2を使用しております。
QC24P→musical fidelity A3.2のpower直結でいろいろ試してみています。
BC2が現代的な音で鳴っていますが、やはり重低音は無理のようです。
いずれQUAD44をプリアンプとして復活させることになるかな、と思っております。
BC2では重低音の帯域までは難しいですね。スタンドなどの足回りはどうされていますか?ただ、本当の低音と低音感は違いますから、根本的な低音の改善には、スタンドやインシュレーター、ケーブル類では限界があるかもしれません。
知人宅で、低音の出ないB&W SS30にちょっと手を加えさせていただいたとき、S/A LabのHighendhoseで自作した電源ケーブルが物凄く効果的でした。今だと、同じ設計者のAETになるでしょう。電源周りについても、意識してみてください。
私は、メインシステムではSA LOGICのウーファーの使用で好結果を得ています。気軽に勧め難い価格ではありますが、20~40Hzのわずかな帯域の追加でも、再生音の音楽性が大きく変る事があります。(ホールトーンと、揺らぎ成分)
audio-pro B2.27は安価ですが非常に性能の良いウーファーですので、機会があれば試してみる事をお勧めします。
貴重なアドバイスありがとうございます。
購入当時は給料2ヶ月分でしたので、スタンドまではいけませんでした。
防振ゴム+黒檀ブロック+耐震ゲルの上に乗せてあります。
Cardas cross power/AC→QC24P→Cardas Hexlink golden5C
NBS SignatureIII/AC→MF A3.2→Kimber KS-3033→BCII
でひとまず落ち着いています。
なお、先ほど壁コンを購入し、秋葉から帰還したところです。
おっしゃるように、ウーファーは最後の仕上げに導入させていただきます。
SA LOGICはさすがに厳しいものですから、お勧めいただいた機種を含め、
10万円程度のものを探していきます。
ご親切にありがとうございました。
SPENDORの純正スタンドはそれほど音が良さそうには見えなかったので、当時のものを買わなかったのは良かったのではないでしょうか。
ゴム系の素材を多くお使いのようですが、アナログ系でハウリングがおきているのでなければ、ゴム系の素材はあまり使わない方が、低音には良いのではないかと思います。(BC2ですから、そんなに猛烈な音圧で音楽を聴いてらっしゃらないと思いますし)
ソルボセインはかなり優秀なゴム系素材でしたが、スピーカー回りに使うとアタック音がかなり後退しました。ゴム系ではないですが、振動を巧く吸収してくれる素材では、J1プロジェクトの青い色の5mmくらいの高分子系素材が効果的でした。スピーカーの自作実験中に、ウーファーボックスの上に設置してたツィータの下に敷いたら、SNの向上に驚きました。なんとなくですが、スパイク&スパイク受けのような組み合わせは、BC2には似合わないような気がします。
木質のスタンドだと、岡山のオーディオ101というところがつくっている楓のスタンドがとてもよいです。私はタンノイの小型モニタースピーカー用に特注して使っていました。響きのあるスタンドといっていますが、充分な強度があるもので、ナチュラルな音を聞かせてくれます。低音がしっかり出るスタンドとすると、他のエントリーで紹介しましたがKRYNA-PROのモノが良かったですが、Spendorにはデザインが会わないような気がしますね。
スタンドについては別のエントリーで書きましたが、(何処の製品とは言いませんが)スタンドが響いて音に影響を与えるようなものは避けたほうが良いと思いjます。