スピーカーの設置位置がオーディオシステムの音質にもっとも大きな影響を与えます。スピーカーの相対位置、家具や部屋の壁からの影響のいずれも音質に大きな影響があるからです。
部屋の長辺側にスピーカーを置くか、短辺側にスピーカーを置くか?という問題は、部屋の大きさやドアや窓等の間取りの影響も受けると思います。私は長辺側に設置しています。リスナー側から見て、左右の壁の一次反射の影響を小さくしたいという考えからですが、もともとの家と部屋の造りの影響を受けたというのも正直なところです。
まず基本として、音の広がり感を出したいならば、左右のスピーカーの間隔を広めに取り、スピーカーを内側に向けるのが良いでしょう。特に部屋の短編側にスピーカーを置く場合は、左右の壁の反射の影響を避けるために壁からどの程度話すか、その時、左右のスピーカーの間隔をどのくらい取れるか?をよく考える必要があると思います。
左右のスピーカーの位置とリスナーの位置が正三角形になるのが一つの基準となるでしょう。スピーカーの高さは、ツィータの位置が、普段聞くときの耳の高さか、ちょっと低めを基準にするのが一般的です。適切な高さのスピーカースタンドを使いましょう。勿論、左右のスピーカーの高さが揃っていないのは論外です。(棚の上に置くときなど、そうなりがちです)
あまり間隔を広げすぎると、センターの音の定位が悪化する場合があります。素直な録音のボーカルのCD(電子楽器は、セッティングの調整には不向きです)などを利用して、音の定位がしっかりしているか確かめてください。古いモノラル録音のCDを1枚もっていると便利です。音の定位が散漫に感じられる場合はスピーカーの間隔を狭めたり、角度を調整する事によって改善されないか調整してください。音量によっても多少変化します。
スピーカーの設計にもよりますが、スピーカーの軸上で最も良い周波数特性が得られるように設計しているものです。スピーカーの軸上からちょっとずれると特性が大きく落ちるもの、さほど変化しないものなど、違いがあります。(高級なツィータほど、軸上からずれても特性の変化が少ない設計になっている場合が多い様です。)特に軸上からずれると特性が悪化するスピーカーの場合は、角度の調整が重要になってきます。
部屋のどこにスピーカーを置くのが一番音質・特性上好ましいかを計算する手法がいくつかあるようです。どれも非常に単純なモデル化を行っているので、その手法をあなたの部屋・住環境において、そのまま適合する可能性は低いでしょう。周りの家具、カーテン、ガラス窓などにより、音質は大きく変化するので、単純なモデルをそのまま実際の住空間に適合できるとは限りません。
実際に音を出して、どの位置での音が一番好ましいか、確かめるのがもっともシンプルで確実な方法です。片方のスピーカーケーブルをはずして、もう一方のスピーカーからだけ音をだし、あなたのリスニングルームで設置可能な範囲で、もっとも音がクリアに聞こえる場所にスピーカーを置けばよいのです。限られた広さの部屋の中で、壁から1m離して。と言われても無理だと思います。が、実際に1m離したとき、50cm離したとき、20cmしか話せなかったときの音を自分の部屋で聞き比べるのは価値のある実験です。一般的にスピーカーを壁に近づけると低音が増強され、離すと壁の反射の影響の少ないスッキリした音になると思います。
スピーカー設計の方針には、流行があります。古いから間違っているとか、新しいからより正しいというものではありません。古い時代のスピーカーは低音不足を補う為、部屋のコーナーや壁に押し付けて、低音を増強するように使うのが普通でした。最初期の小型スピーカーはブックシェルフスピーカーと言われた通り、本棚に押し込んで書棚に収まる本の背表紙のバッフル効果で低音を稼ぐ考え方でした。一方、比較的最近の特に小型スピーカー(CelestionのSL-6あたりに端を発する小型スピーカーの流れ)は、壁による音の反射を嫌い、できるだけ壁から離して設置することを前提にしています。
小型スピーカーの場合、スタンドに設置するか、本棚やサイドボードの上に設置するのが普通でしょう。どちらの場合も頑丈な台に載せることが好ましいです。特に家具の上に設置する場合は、家具は軽量化の為に見た目と異なり板の中が空洞なものが多い為、適当な合板の台やオーディオボードやインシュレーター類で足もとを強化してやると良いでしょう。小型スピーカー用のスタンドは、音質的に有利なものは比較的高価になってしまい、安価なスピーカーとは価格のバランスが悪くなってしまう事もあるので注意してください。
実際には、スピーカーの設置方法は、住環境とのトレードオフになる部分が大きいとは思いますが、たとえば、小型スピーカーを本棚に押し込めて使わざるを得ない場合も、壁から充分な距離を離した位置にスピーカーを設置した場合は、どのような音になるか、仮設置をして試す事は可能なはずです。そういう実験・体験の積み重ねが、将来的な音質改善への指針となるでしょう。
部屋の音質改善には、最近は私はヤマハの音響パネルを勧めています。私も4枚使用中です。値段も妥当で、Value for moneyの点でもお勧めできます。設置場所はスピーカーの背面壁際、中央壁際、部屋の側面1時反射面になる部分が候補となります。この手のオーディオパネルはしっかり壁に押し付けて使用した方が良いです。オーディオ店の店頭や展示会の会場でもスピーカーの近くにパネルを立てかけている例を見かけることがありますが、下手なやり方です。考えてみてください。そのようにパネルを設置することにより、室内の反射面が増えてしまうのですよ。
本エントリーでも書いたスピーカースタンドについては、下記のエントリーでより詳しく紹介しています。

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